【働き方改革】で残業時間や休暇数はどう変わる?ワークライフバランスは?

2019年4月から労働基準法が変わり、建設業や職業ドライバーなどの例外を除き、年間720時間以上の残業が罰則付きで禁止されています(中小企業は2020年4月から)。

また、年10日以上有給休暇が付与される労働者に対して、年間5日分の有給休暇を取得させる義務も会社(使用者)側に課せられています。

労働基準法の改正内容や、今後予想される労働者の働き方の変化について解説します。

広告

年720時間以内の残業時間規制~長時間労働を抑制~

2015年に発生した大手企業での過労死問題から長時間労働を抑制しようという気運が高まり、2019年4月(中小企業は2020年4月)から、残業時間の上限が年720時間以内と定められました。

ただし、この上限は三六協定の特別条項を定めた場合に適用され、決算期などの繁忙期やトラブル対応など突発的事象が見込まれることが要件とされます。

さらに、月45時間を超える残業を年6か月以内とする条件の他、次の2条件を満たす必要があります。

なお、特別条項を定めない場合の残業時間の上限は、従来通り年360時間(月45時間)です。

1つ目は、休日労働を含む残業時間が1か月100時間未満であることです。


1日約3時間半の残業に加えて、毎週1回・8時間分の休日出勤を行った時間数に相当し、それを超える時間外労働が3か月以上続いて精神疾患を発病した場合は、心理的負荷が強いとして労災認定の有力な判断材料とされます。


2つ目は、2か月以上6か月以下の複数月を平均した残業・休日労働時間が80時間以内であることです。


1日約2時間半の残業に加えて、月3回・8時間分の休日出勤を行った時間数に相当し、疲労蓄積度が高いとされています。

労働者の申出があれば、医師による面接指導を行う努力が会社に求められるレベルです。

上記に違反した場合は、6か月以下の懲役30万円以下の罰金に課せられます。法人としての会社は罰金刑のみですが、個人としての事業主・管理職は懲役刑の対象となり、従来のように行政指導止まりではないので要注意です。

本人の希望を踏まえて年間5日分の有給休暇を取得させる義務~年休取得率アップが目的~

労働者の有給休暇取得率は51.1%(厚生労働省「平成30年 就労条件総合調査の概況」)で、世界的にみても低めの取得率です。

2019年4月からは年休取得率70%を目指すという働き方改革の一環として、会社側が時期を指定して5日分の有給休暇を取得させる義務が定められました。

対象者は年10日以上有給休暇が付与される労働者で、正社員だけでなく週3日以上勤務するパートタイマーも適用となる場合があります。

「年10日」に前年度からの繰越日数は含みませんが、過去分から順次消化することは認められています。

また、休日や労働時間の指定を受けない管理監督者にも、年5日は有給休暇を確実に取得することが求められます。

時間単位有休は年5日分に含めることはできませんが、半日有休を組み合わせることは可能です。

会社が、5日分の有給休暇を計画的かつ確実に取得させるためには、労働者から休暇予定の提出を受ける方法が考えられます。

有休時期を指定する前の意見聴取と取得日の調整を円滑に行う目的がある他、労働者にとっても気兼ねなく希望を出せるというメリットがあります。

長期間の予定を立てづらいという向きもあるため、6か月ごと・四半期ごとなど期間を区切って予定を立ててもらうのも有効です。

有休はどのような理由でも取得できますが、日程調整を目的として理由を申告してもらうことは差し支えないとされています。

ただし、計画提出の時点で年5日以上有給休暇を取得済の労働者に対しては、取得時期の指定が不要な点に留意が必要です。

。有休はどのような理由でも取得できますが、日程調整を目的として理由を申告してもらうことは差し支えないとされています。

ただし、計画提出の時点で年5日以上有給休暇を取得済の労働者に対しては、取得時期の指定が不要な点に留意が必要です。

人材の多能工化で時間外労働を削減できる~休暇取得のチャンスも増える~

働き方改革により、会社が確保する労働力(マンパワー)に上限が設けられましたが、労働時間が減っても従来レベルのパフォーマンスを発揮する方法の一つとして、業務を複数名で共有する方法(人材の多能工化)が考えられます。

1人で業務を抱え込んでいる場合、長時間労働が恒常化したり好きなタイミングで休暇が取りづらかったりするデメリットも伴います。

休暇中にかかってくる業務関連の電話をストレスに感じる人もいるでしょう。

担当者不在によって業務が停止するリスクも、会社にとっては重大です。

しかし、部署内で業務内容を共有しておけば、担当者不在が原因の業務停滞を防げますし、1人あたりの業務負担も軽減されます。

例えば、1人で4時間かかる仕事を2人で共有すれば2時間で済んで負担は半減しますし、その分帰宅時間も早まるわけです。

「同じ業務を知っている人がいる」という安心感も、休暇の取りやすさにつながるでしょう。

加えて、周囲とのコミュニケーションを通じて業務の省力化を図るチャンスが生まれる他、BCP対策にもつながります。

書類や動画でマニュアルを作成し、担当業務を明確にしておくことも有効です。

会社・労働者双方で働き方改革を実現しよう

以上で解説したように、2019年4月以降は三六協定を超える時間外労働が発生しないよう、そして有給休暇が取得できるよう、積極的な労務管理が求められています。

労働者にとっては「残業しない・休暇を取得する」権利が明確化したと考えられますが、限られた時間内で高い生産性を発揮する努力も必要です。

仕事とプライベートのメリハリをつけた働き方を、会社・労働者双方で考えてみてはいかがでしょうか。

広告