社会では、長時間労働による過労死が問題視されています。
長時間労働と脳疾患、心疾患の関係が明らかになり、労災が認められた自殺も長時間労働が原因だと言われています。
そこで労働安全衛生法では、長時間労働による過労死などを防ぐために、一定の時間以上の長時間労働を行っている労働者に対し、医師が面接指導をすることを義務付けています。
1ヵ月に100時間を超える残業をしている場合、医師による面接指導を受けよう
長時間労働者に対する医師の面接指導は、企業の規模に関係なく、すべての企業に義務付けられています。
医師の面接指導の対象となるのは、長時間労働者とストレスが高い労働者の2種類です。
時間外労働や休日労働時間が1ヵ月あたり100時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者については、その労働者の希望があったときに、また、ストレスチェックを行った結果、ストレスが高いと診断され、そのチェックを行った者が医師による面接指導が必要と判断した場合、本人が希望したときに限り、医師による面接指導を行わなければなりません。
いずれも本人が希望しない場合は、面接指導を行わないこととなっています。
さらに時間外勤務や休日労働時間が1ヵ月あたり80時間を超えており、疲労の蓄積が認められる、または健康上の不安がある労働者が希望したとき、やはり医師による面接指導を行う必要があります。
ただし、この場合は「義務」ではなくて「努力義務」です。さらに、事業場で独自に定める基準に該当する労働者についても同様です。
勤怠管理は正確に行い、労働者の勤務時間を把握しよう
労働者は、時間外労働が1ヵ月あたり100時間を超えたことがわかったとき、またストレスチェックを受けて結果が出たとき、そのときから1ヵ月以内に企業側に面接指導を希望することを申し出ます。
申し出を受けた企業はそれから1ヵ月以内に医師による面接指導を実施しなければなりません。面接指導にかかる費用は会社が負担することになります。
このときに重要なのは、労働者の勤怠管理が的確に行われていることです。
本当は残業をしているのにもかかわらず、残業をしていないことになっている、残業を少なく申告しなければならないなどの企業風土や慣習があれば、労働安全衛生法上、企業の大きな問題となります。
長時間労働による過労死等が出た場合、企業は多大なコストを負うことになるので、勤怠管理は正しく行いましょう。
また長時間労働を強いられている労働者も、自分の健康を第一に考え、医師による面接指導を積極的に受けることが大切です。
医師の意見により労働者の勤務状態を改善しよう
医師による面接指導が終了したら、企業側は医師の意見を聞き、労働者の健康を改善させるように努力しなければなりません。
医師の意見に従って、その労働者の勤務体系や労働内容、勤務部署などを見直し、労働時間の削減、深夜勤務の廃止などの策を講じる必要があります。
2018年の「働き方改革関連法」では、残業時間に上限が設けられ、月45時間、年360時間と定められました。
特別の事情がある場合は臨時的にこれ以上の勤務も可能ですが、原則として1ヵ月の残業時間は45時間までであることは守らなければならないのです。
したがって、これに沿って労働者の勤務体系を見直しましょう。
また企業は、医師の意見を衛生委員会等に報告するとともに、労働者が受けた面接指導の結果を5年間保管しなければなりません。
さらに企業は、労働者にメンタルヘルス不全が見られた場合、精神科医などと連携を取る必要があります。
メンタルヘルス不全を理由に労働者を差別するようなことがあってはなりません。
労働者は積極的に医師の面接指導を受けることが大切
長時間労働をしている労働者は仕事が忙しく疲労が蓄積しているため、自ら進んで医師の診察を受けることが難しいのが現状です。
また、長時間労働をしているから疲れていて当たり前などと軽く考えていると、過労死や自殺といった最悪の結果を招くことになります。
したがって、医師による面接指導は労働者の健康問題にとって大きな役割を果たします。
労働者も医師による面接指導の重要性を認識し、積極的に面接指導を受けましょう。