近年になり、日本は世界でどの国も経験したことのないような少子高齢化社会を突き進んでいることを背景として、「働き方改革」が打ち出されました。
少子高齢化による将来の労働力不足が喫緊の課題となっています。「働き方改革」とは「一億総活躍社会」を実現するための改革といえます。
少子高齢化が進む中でも、「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」です。
働き方改革の背景:少子高齢化
少子高齢化とは、将来の働き手となる子供の減少と平均寿命の延伸による高齢者人口の増加を基盤として生じます。
2040年には、75歳以上1人に対して15~74歳は3.3人となる推計が国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」より出されています。
これはすなわち、75歳以上の高齢者1人を15~74歳の3.3人で支えるということに言い換えられます。高齢者が増加するということは、介護を必要とする者が増加するということでもあります。
家族の中に介護を必要とする者がいれば、本来労働力として働くべき者が介護に手をとられ仕事を続けることができなくなるなどの労働力の損失が生じることも考えられています。
そういった少子高齢化を背景として「働き方改革」が打ち出されています。労働力不足を背景として、労働力不足の解消を目指すため、働き手を増やし労働生産性を向上させることにより、「1億総活躍社会」を実現するための改革といえます。
従来の正規雇用形態にそっての仕事しか認められていないのであれば、中には仕事を泣く泣く辞めないといけない方もでてきます。
介護が必要な家族が家にいる場合、より柔軟な勤務形態でなければ仕事を続けることはかなわないでしょう。
今後は社会において多様な働き方が求められると考えられます。例えば、会社に通勤するだけではなく、在宅ワークでの仕事が可能となるなど場所を選ばないことも一つのモデルとなりうると考えられます。
時間に関しても朝9時から夕方17時などの決まった時間帯ではなく、時短での勤務や午後からの勤務などの多様な勤務時間も選択できるのであれば、より働きやすく仕事を続けられる人も増えるのではないかと考えられます。
働き方の問題:長時間労働
少子高齢化を背景として労働生産人口の減少が進むと考えられますが、それに拍車をかけることとして、本来働ける年齢の労働者が働けないことが問題となっています。
長時間労働による過労死や自殺なども社会問題となっています。またそこまでに至らなくても、ブラック企業といわれるような企業により心身ともに健康を損ない働けなくなる者が多くなることで生産労働人口の低下に拍車をかけています。
できるだけ健康で長く働けるような働き方を推進するよう企業には求められています。残業時間の軽減により労働の生産性を上げることが大事になってくると考えられます。
労働人口の底上げ:高齢者・女性の就労促進
労働人口の増加が課題となっています。いかに高齢者に長く働いてもらうかということになります。元気な高齢者には知識や経験を活かしてまだまだ少しでも長く働いてもらえる場を提供できるような環境づくりをしていく必要があります。
65歳を超えた高齢者でまだ働きたいという意欲がある人に対して企業が雇用の支援をしていく必要があるといえます。体力面では劣る高齢者ですが、長年の知識や経験を活かせる場があれば労働力として活躍できると考えられます。
女性の就労促進も労働人口の増加に大きく寄与するといえます。女性は男性と違い、結婚・育児・家事・介護などを通して、仕事を辞めなければいけないことも多くなります。
育児や家事をしながら行えるような仕事はなかなか見つからない現状があります。例えば、企業が会社内に保育施設をつくったり、融通のきく勤務形態での仕事を支援したりするなど、小さい子供がいる母親でも働きやすい職場環境を作るという企業努力が必要になるのです。
また子育てを終えた女性が新たに就職をしようとしたときに、ブランクがあってなかなか仕事に戻れないということもあるかもしれません。
リカレント教育など仕事にスムースに復帰できるようなサポート体制を整えることも、復職を促進できるひとつの取り組みとなりうるでしょう。
家事や育児などの経験を活かした女性ならではの視点が優位に働くような職業分野を広げていくことも、女性の社会進出に寄与し労働人口の増加に有効ではないかと考えられます。
非正規と正規の格差是正
契約社員など非正規雇用も社会問題となっています。日本の非正規社員の待遇は、正規社員の6割の賃金にとどまるといわれています。
欧州では8割であることから非正規・正規社員の格差は激しいといえます。非正規で働く方の割合は労働者の4割にあたります。働き方や待遇の是正が急務となっています。
労働力不足の解消のためには働き方改革の推進が必須
少子高齢化社会の中を今後進んでいく日本にとって、労働力不足は喫緊の課題となっています。
労働力不足の解消のために政府から「働き方改革」が打ち出されていますが、長時間労働・非正規雇用と正規雇用の格差・女性や高齢者の就労支援など課題は山積みとなっています。
労働者が働きやすい多様な働き方を推進していく企業努力が求められています。