有給休暇義務化は全ての事業所で働いている労働者が対象になるのが特徴です。労働時間についての規制を外すことができる管理職の人についても労働基準法によって取得義務の対象になることは念頭に置いておかなければなりません。
この観点から現場の運営をする上で気にかけておくべき点や合理的な働き方について考えてみましょう。
管理職も有給休暇義務化の対象
有給休暇義務化の対象は一般の労働者だけではなく管理職も含まれています。管理職は労働時間についても労働基準法の指定する時間以内でなくても良いという特別措置が取られているため、有給休暇の取得についても例外とされるのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、これらは全く別の趣旨で定められているもので、管理職であっても有給は取得すべきというのが国の基本方針となっています。
有給休暇義務化の対象となるのは年次有給休暇を10日以上付与されている人全員なので、中途採用で年度の途中に入社してきたというケースを除けば正社員なら通常は対象になります。
また、非正規雇用であっても有給休暇が年間10日以上与えられている限りは対象だということも併せて知っておくと良いでしょう。
管理職が有給を取得する上での注意点
有給の取得について管理職の場合には現場の運営体制をよく考えなければなりません。
義務化されているのは、本人の希望による有給休暇あるいは計画的付与による有給休暇が年5日以上ない労働者に対して、使用者が時季を指定して有給休暇を取得させることです。基本的にはいつ取得したいかを使用者が労働者に聞いて、その希望に応じて有給休暇を取得させるという流れになります。
管理職の場合にも自分で自由に日にちを指定して有給休暇を取得していれば問題はありませんが、現場の運営を考えると余計に休みは取れないと考えてしまうケースが多いでしょう。
現場にいる他の従業員としても決裁権のある管理職がいない日には仕事が滞ってしまって困ることになりかねません。
この対策を立てておくことが重要で、仮に管理職が現場にいなかったら何が困るのかを明確にしておく必要があります。
毎日様々な決済をしているのであれば、その代行が可能な人を配置しなければなりません。業務の配分を当日の朝に行っている場合には、前日のうちに業務を適切に配分させておくか、やはり代理で働ける人を準備することが必要です。
その管理職の役割や組織の形によってベストな方法が異なるため、十分に関係者で議論した上で有給を取得できる形を整えましょう。
ただ、有給の取得日についても気をつけなければなりません。本人の希望する日に取得させるのが原則で、もし希望しているにもかかわらず取得させなかった場合には使用者は罰金を払うか懲役を受けることになってしまいます。
自ら休みたいと言ったときのことも想定して、現場の運営をどうするかを考えておくことが必要です。
また、本人の意志で取得しない場合にはその管理職の上司や取締役がいつ取得したいかを聞くシステムを作り上げなければなりません。その上で希望が出ればその通りにし、希望がない場合には協議をして業務に支障が生じにくい日を選ぶこともできるでしょう。
また、計画的付与をすれば管理職も休みやすくなります。他の労働者も休む日になるので管理職が現場にいなくても問題が生じることはありません。
労働者代表と協定を結ぶことで有給休暇の計画的付与が可能なので、管理職の人が休める日を作り出すためにも導入を検討してみるのが賢明です。
管理職の働き方を再考しよう
有給休暇義務化が管理職も対象とされているのは管理職が働きすぎになっている現場が多いからに他なりません。
労働時間規制が除外されているのは現場の運営上やむを得ないからですが、それが原因で過酷な労働環境に身を置いている人も多いのが実態です。この法改正を起点にして管理職の働き方を再考してみるのも大切でしょう。
管理職も他の従業員と同様に労働時間を規制しても問題はありません。残業をしないという方針を立てて働いてもらうこともできるでしょう。
どうしても労働時間は長くせざるを得ないという場合にはリモートワークを許可する方法もあります。特に書類関係の仕事ばかりという日には現場に出てきてもらわなくてもメールやテレビ電話などで業務をこなせるでしょう。
このような方策を立てることで管理職の負担を軽減すると、かえって現場の運営がスムーズに進むようになる可能性もあります。
また、リモートワークを取り入れれば現場に管理職がいない状況でどう働くべきかを従業員が考えるようになり、有給で休んだ日も滞りなく業務が進む可能性もあるでしょう。
管理職の働き方を再考する機会にしよう
管理職も対象となる有給休暇義務化を受けて、現場に管理職がいないときにどうするかを考えなければならない状況が生まれています。
年5日は有給休暇を取得させるのが義務になるので対策を立てましょう。管理職の働き方について再考する機会にして、現場にいなくても業務を滞りなく進められるような環境作りをするのが大切です。