ほとんどの企業で、組織の生産性の向上に着目した事業運営が行われています。少人数化、短時間化の流れが濃くなる環境の中で、高い成果を上げるにはどのようなことが必要になるのでしょうか。
ここでは、生産性向上の必要性と業務効率化との違いを解説します。企業人事が取り組んでいきたい生産性向上につながる3つの施策もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
生産性を向上させる必要性
日本では少子高齢化が進み、労働人口も減少傾向にあります。全体的に少ないマンパワーの中で企業として価値を生み出していかなければなりません。今後、団塊の世代が後期高齢期に入っていき、少子高齢化はさらに深刻化していくと見込まれています。
大人数のパワーが見込めないのであれば、一人ひとりの能力、つまりは生産性を高めていくしかありません。このことから、以前にも増して生産性を向上させることへの関心と対策の必要性が高まっているのです。
世界的にも生産性を向上させることへの関心は高いのですが、とくに日本においては労働生産性の水準の低さが懸念されています。
また、インターネットやデジタル技術の発展も生産性を向上させる必要性を生み出しています。企業にとっての市場も、競争相手もグローバル化しています。世界の舞台で生き残っていくためには、今までにない価値や他社より秀でた商品・サービスを提供しなければなりません。
テクノロジーの進展は、ビジネス展開のスピードだけでなく、変化のスピードも加速させています。そのような環境の中、高い生産性を保持していくことが不可欠となっているのです。
生産性向上と業務効率化の違い
業務効率化という言葉もビジネスシーンではよく使われています。生産性向上と業務効率化は厳密には異なる意味合いを持つものです。いずれも企業運営に必要とされる取り組みですが、それぞれの到達地点が違います。
業務効率化は、かかった費用や時間を意識するものです。無駄を省くことでお金や時間というコストを抑え、できるだけスピーディーに仕事を完了させることを目指すものです。
一方で、生産性向上というのは、視点が成果に向いています。どれだけコストを削減し、どれだけ早く仕上げられたとしても、成果に結びつかなければ生産性が向上したとはいえません。コストを抑えつつ、少ない労力で高い成果を目指すものです。
一般的には、業務の効率化を図ることは、生産性を向上させるための有効な対策と捉えられています。
しかし、極論すれば、業務効率が多少低かったとしても、アウトプットの質が上がり、それまでより高い目標が達成できるようになれば生産性は向上しているといえます。ただし、業務効率化と生産性向上がセットでなければ最適値ではないのです。
施策:目的への意識の強化
人事が取り組んでいくべき施策としては、従業員が一つひとつの仕事に対する目的意識を強く持てるようにすることです。
組織内に浸透させるためには、マネジメント層の育成も必要になってくるかもしれません。業務を効率的に進めるための意識は個人個人にも働いていることが多いです。納期や頼まれた提出日に間に合うようにそれぞれが工夫を凝らします。
しかし、仕事量が多くなるほど、期限だけに意識が向いてしまい、成果につながる目的を忘れてしまいやすいのです。
そうなると、たとえ早く仕上げられたものでも、OKの出せないアウトプットが上がってきます。やり直しとなれば、時間も労力も嵩んでしまうのです。目的に沿ったアウトプットとそうでないアウトプットには雲泥の差があります。
目的をしっかりと伝え、それをきちんと理解した上で仕事に取り掛かれるような仕組みが必要になります。
仕事を進めていく上でも常に目的を忘れないための意識付けの工夫も求められるでしょう。若手、中堅、管理職などそれぞれの層に対する研修などでも目的意識を持つことの重要性を説いていくことも有効です。
施策:業務とフローの可視化
事業を進めるにあたって企業内に存在する業務と、そのフローをすべて可視化しておくことも生産性向上のための重要な取り組みとなります。
組織内では各部署、各従業員に仕事が割り振られていますから、まず行うべきなのは、最小単位となる各従業員に自分の業務とそのフローをすべて洗い出してもらうことです。
この点は、人事担当者ではなく、実際に業務を行っている従業員に任せたほうが現場の実情を把握できます。「現状の正確な把握」がこの取り組みの重要事項です。人事の役割は、複数の従業員、もしくは複数の部署が協働したり、連動したりして進める業務の確認です。
ですから、各部署や従業員の洗い出した業務リストを集めてチェックする必要があります。
業務を洗い出し、どのように行っているかという業務フローを確認することによって、生産性を向上させるための課題を見つけることができます。もちろん、業務効率化の側面も持ち合わせます。
可視化することで、比較や分析がしやすくなるのです。すべての従業員と見える化したデータを共有していくことで、生産性向上の意識付けにもなっていきます。課題に対して適切な対策や改善を行っていくことで組織力が上がり、生産性を向上させることができるのです。
施策:ITやデジタルの活用・導入
事業を行っていくには、事業に直結する業務だけでなく、バックオフィスも含めてITやデジタルを活用しなければ難しい時代になりました。
さまざまなシステムやツールが登場しているため、自社に必要で有効なものを取り入れていくことが生産性の向上につながります。
勤怠管理、社内コミュニケーションツール、顧客管理などさまざまなことにデジタル化が必要です。アナログ的に紙やファイルで管理し続ければ、従業員の手間を膨大にします。
必然的に、1件1件、一人ひとりの処理に時間がかかるため、成果につながるコア業務にかける時間が少なくなってしまうのです。
生産性向上への取り組みは現代企業には必須!
満足な成果が上げられていたとしても、さらに生産性を上げるヒントは現場に隠れています。
今、最適化した生産性向上のための施策も、環境や状況の変化によって最適ではなくなるという認識も必要です。
生産性を上げていくためには、有効なシステムを選定し、業務を可視化して、常に業務やフローのブラッシュアップを図っていくことが大切です。